廃品回収業を始めるのに必要な許可や資格は何がありますか?

廃品回収業を始めるのに必要な許可は、何ですか
日本では現在リサイクルの意識が非常に高くなっており、不要になったものを捨てるのではなく引き取ってもらうところも増えてきています。
こうした現状から廃品回収を生業にしたいと考える人も増えているみたいですが、その中にはどのような許可が必要なのかわからないというケースもあるそうです。それでは廃品回収に必要な許可とはどういったものなのでしょうか?
必要なのは3つの許認可
まずはじめに廃品回収とひと言でいってもいろいろなやり方があって、どういうやり方をしたいのかによって必要な許可が変わりますが、以下の3つが基本的に必要となります。
①「一般廃棄物収集運搬業の許可」一般家庭から家具や家電、ごみなどを回収する場合に必要です。
②「産業廃棄物収集運搬業の許可」法人からゴミを回収したい場合はの許認可が必要です。
③「古物商の許可」回収した不用品を売ったり、リサイクル品の買い取りをする場合に必要です。
なかなか取りづらいのが一般廃棄物収集運搬の許認可
必要な3つの許認可のうち、一般廃棄物収集運搬の許可は極めて取りづらいものとなっています。市町村ごとに許可を取る必要がある免許ですが、市に問い合わせても、新規業者の登録は受け付けていないといわれる自治体がほとんどです。理由は公共事業の利権であったり、信頼できない業者の管理が面倒であったり…と、いろいろあるかと思われますが、この許認可を新規に取得するのは至難の業です。
大きな会社と定期的にお付き合いをするなら産業廃棄物収集運搬の許認可を
産業廃棄物収集運搬の許可は、都道府県ごとに発行されるものですが、1日講習を受けて、8~9万円程度の料金を支払い、書類を提出すれば許可が下ります。ただし提出書類がたくさんありますので、多少面倒です。講習の料金とあわせると10万円を少し超えると思います。行政書士などの代書屋さんを利用すると、トータルの費用は1都道府県あたり、15万円~18万円程度かかることでしょう。
まずは個人事業の届出をして古物商を取るところから
廃品回収業はリサイクルショップに近い形になるでしょう。回収したものを売ることで儲けを出さなければなりませんので、売り方についても考えておく必要があります。古物商の免許は、都道府県の警視庁が発行しています。必要書類を揃えれば、おおよそ2万円前後で取得ができます。
個人で軽トラック1台から始めるのであれば、まずは個人事業の届出を行った後に、古物商の免許を取得して行うのが手順です。ある程度ビジョンを確立して計画的に進めていったほうがいいと思います。
街で拡声器を使って廃品回収を行う行為は市区町村の条例違反になる場合や、音が大きすぎる場合には、違法行為にあたりますので、勝手にやれば罪に問われる可能性が高いです。

無許可で廃品回収を行ったときの罰則とは?
無許可で操業した場合の罰則は、どの法律に違反したかによって異なります。しかし、いずれのケースでも罰金と懲役またはその両方が科されることになります。不用品回収業者にとっては致命的な影響があるので、確実に正当な手段で許可を取って操業しましょう。また、利用者は無許可の業者を利用しないように注意してください。
古物商の許可がない状態での操業
回収した物品を再販するときに必要な「古物商の許可」の未取得は「古物営業法」の違反となります。3年以下の懲役または100万円以下の罰金もしくはその両方を科されます。
一般廃棄物収集運搬業・産業廃棄物収集運搬業の無許可操業
回収した不用品を自ら処分する事業を営む場合は、家庭用もしくは事業系一般廃棄物の処分なら一般廃棄物収集運搬業、産業廃棄物の処理なら産業廃棄物収集運搬業が必要です。無許可での操業は廃棄物処理法に該当します。
無許可での操業もしくは不正な手段で許可を取得した場合には、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はその両方が科されます。なお、法人の代表者・従業員が、法人の業務として無許可で営業した場合には罰金の上限が3億円以下となります。
事業者の場合は、委託した側も罰則対象に
事業者が無許可の業者には、委託した事業者も廃棄物処理法違反に該当します。発覚した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。事業者が不用品を処分するときには、許可を持つ正当な業者を選んで手続きを進める義務があるのです。
個人が無許可業者に委託してしまっても罰則はありませんが、悪徳業者のケースが多く、高額請求などのトラブルに発展しがちです。法制度遵守の意識が低く、違法な方法で不用品を処分する業者も少なくありません。
仮に、無許可業者が不法投棄した場合、自分ではなく業者が投棄した事実が証明できなければ、依頼者が疑われるリスクがあります。そのまま罪に問われる可能性は低いとしても、捜査や調査への対応が大きな負担となるでしょう。
不用品回収に必要な資格取得の流れ
不用品回収事業を営むうえで必要な3つの資格の取得の流れをまとめました。
一般廃棄物収集運搬業の許可取得方法
一般廃棄物収集運搬業の許可は市町村ごとに取得するのですが、現在はほとんどの自治体で新規の許可付与を行っていません。まずは、新規許可の交付予定を確認しましょう。Webサイトなどで募集がでるケースもあるので、操業を考えている地域のページをこまめにチェックするのも有効です。
新規の許可取得を認めるうえではいくつか条件があります。たとえば以下に該当する方は許可がおりません。
- 精神障害があり判断力のない物
- 自己破産をしたのち復権していない者
- 禁固刑以上の前科があり、かつ服役後5年未満の者
- 廃棄物処理法および関連法令における処分を受けてから5年未満の者
- 暴力団対策法による処分を受けてから5年未満の者
申請先は市町村役場の窓口ですが、具体的な申請先は自治体によって異なります。たとえば東京都特別区(23区)は「東京二十三区清掃協議会」です。新規許可申請には手数料がかかります。こちらは特別区の場合で1つの区に対して15,000円です。手数料も、自治体によって異なります。
必要書類は次の8種類(法人で申請する場合は11種類)です。
- 許可申請者の本人確認書類
- 事業計画書
- 事業所、事業に使う施設などの図面、説明書類など
- 車両の写真、車検証、使用権限証明証
- 一般廃棄物の処理を的確に行うための知識・技術的能力の証明証
- 誓約書
- 住民票
- 納税証明書
法人のみ必要
- 役員名簿
- 定款、履歴事項全部証明書
- 過年度の貸借対照表、損益計算書
産業廃棄物収集運搬業の許可取得方法
産業廃棄物収集運搬業は、都道府県もしくは政令指定都市ごとに許可を取得します。まず、JWセンターが主催する産業廃棄物収集・運搬課程講習(2日間)を受けて、修了試験に合格しなければなりません。受講料は郵送で31,000円、Web申し込みで30,500円かかります。
そのほか、次の条件を満たしている必要があります。
- 欠格要件に該当しない
- 経理的基礎がある
- 運搬に必要な車両、容器、駐車場がある
以上を満たせば新規取得も可能なので、実は一般廃棄物収集運搬業よりハードルが低い可能性があります。申請先は自治体により異なるので、事前に確認しておきましょう。申請手数料は81,000円です。
必要書類は個人で16種類、法人は20種類となります。
- 許可申請書
- 指定講習会修了証の写し
- 住民票
- 登記されていないことの証明書
- 事業の全体計画
- 運搬施設の概要
- 収集運搬業務の具体的な計画
- 環境保全措置の概要
- 運搬車両の写真
- 車検証の写し
- 本店、事務所、事業所、駐車場の地図
- 事業開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類
- 所得税の納税証明書(直近3年分)
- 確定申告書の写し(直近3年分)
- 資産に関する調書
- 誓約書(押印)
法人のみ必要な書類
- 定款
- 履歴事項全部証明書
- 決算書
- 法人税の納税証明書(直近3年分)

古物商の許可取得方法
古物商の許可は、各都道府県の公安委員会が付与します。ただし、実際に申請書を提出するのは、所轄の警察署の生活安全課です。古物商はここまでの許可のなかで最も取得がしやすく、欠格要件に当てはまらない方であれば、誰でも取得可能です。なお、許可審査料として19,000円がかかります。
必要書類は次のとおりで、個人が7種類、法人が3種類です。
- 略歴書
- 住民票の写し
- 誓約書
- 登記されていないことの証明書
- 身分証明書
- 営業所の賃貸借契約書のコピー(店舗が賃貸の場合)
- URL使用権限疎明資料(HPで古物売買する場合)
法人は、加えて以下の書類が必要となります。
- 登記簿謄本
- 登記事項証明書、履歴事項全部証明書
- 定款のコピー
関連記事
-
空き缶を集める商法は儲かるのでしょうか?
空き缶を集めると聞くとホームレスの人が夜な夜なゴミ箱などから集めているイメージがありますが、実は空き缶を集める商法というのが存在しており、集めることにはきちんとした目的があるのです。まず集めた空き缶は何に使われるのかというと、新たにリサイクルするためで新しいアルミ缶に使われたり、自動車の部品になったりと実に様々な使い道があるのです。 そして空き缶を回収する業者もきちんと存在しており、スーパーなどに行くと空き缶を入れる専用の回収箱が置いてあることがありますが、こういったところに溜まった空き缶は業者が回収してリサイクルするのです。基本的にリサイクル専門の業者が自治体から依頼を受けて行っていることが多く、ホームレスの人が集めたものも最終的には業者が回収するようになっています。また空き缶は各家庭で分別して捨てるようになっていますし、地域によってはリサイクルに積極的で業者と協力して集
-
廃品回収業者とのトラブル事例 料金編
廃品回収業者とのトラブルで断然多いのが料金についてです。 消費者がこうした廃品回収業者と出会うのは、ポストに入っていた「無料で不用品を回収します」というチラシを見たり、拡声器をつかって「ご家庭の不用品を無料で引き取ります」などと宣伝しながら、軽トラックで巡回しているのを呼び止めたりした場合がほとんどでしょう。 ここでキーワードとなるのが、「無料で回収」をうたっていること。 でも、どこまでが無料でこれこれは有料、といった詳しい説明がなされていないことがトラブルの一因となります。 そうした業者に共通しているのは、料金表や明確な見積もりを提示しないこと。 例え見積もったとしても、それを簡単に反古にしたりして高い請求をしてきます。 ある事例をご紹介しましょう。 「無料回収」をうたうトラックを呼び止めて、回収料金を尋ねたが業者は答えませんでした。 不用品は物置にあるというと、業者は勝手
-
廃品回収業者とのトラブルから身を守るたった一つの方法とは
廃品回収業者とのトラブル事例 見積もり編 どんな仕事でも見積もりはきちんと取るのが普通です。 引っ越し業者選びや家のリフォームなどでは当たり前のようにすることですが、どういうわけか廃品回収業者だけはアバウトな感じで作業が進んでしまう傾向があります。 「粗大ごみや不用品など安く回収します」というチラシを見て、いくらぐらいの経費で回収してくれるか見積もりを取りたいと思っても、実際に訪問見積もりに来たのは営業マンで、作業当日に来たのは違う人というケースが多々あります。 そこで不用品の量や大小を理由に金額に大きな開きが生じることも。 「見積もりを取った」と言っても、作業員の凄んだ口調や形相に泣く泣く支払う場合もあるようです。 あるトラブル事例では、本箱やパソコン、食器、キーボード、折りたたみベッドなど15点ぐらいを処分したいと考え、「見積り無
-
廃品回収業者の摘発事例 無許可業者編
家庭で使わなくなったものを有料で引き取ってもらう場合、きちんとした資格をもった業者に頼むことが法律で義務付けられています。 例えば骨董などを買い取るには「古物商」の認可が必要であるように、不用品を回収するには「一般廃棄物収集運搬業」の認可を取得していなければなりません。 認可を得ていない違法業者に回収を依頼すると、ぼったくられたり、不法投棄されるなどのリスクがあります。 最悪、依頼人が警察に容疑をかけられる可能性もありますから、トラブルを避けるために必ず確認が必要です。 特にテレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機などの処分は、家電リサイクル法や小型家電リサイクル法、パソコンリサイクル法の縛りがあり、無許可の業者が回収するのは違法になります。 実際に無許可業者が逮捕されるというケースは後を絶ちません。 幾つかその事例を紹介しましょう。 その一つは、2013年、岐阜県警はテレビなどの使
-
廃品回収業者とのトラブル事例
「無料でなんでも回収します」とトラックでアナウンスしながら、町内を流している廃品回収業者をよく見かけると思いませんか。 許可を得て回収に当たっている業者の数も多いのですが、許可を取らずにそうした活動を行っている業者はというと、きっと膨大な数字になるでしょう。 廃品回収業者とのトラブルも年を追って増えています。 全国の消費生活センター等に寄せられる廃品回収サービスに関する相談件数が2002年度は141件だったものが2006年度には318件になるなど急激な増加を見せています。 相談の内容でトップを占めているのが、「最初は“無料”を強調してたのに作業後に料金を請求された」「口頭で伝えらえた見積りより、はるかに高額な料金を作業後に請求された」など、料金をめぐってのトラブルです。 大型電化製品やテーブルなどの粗大ごみを正規ルートで処理してもらう場合、料金を支払って持っていってもらわなくて
-
廃品回収業者の摘発事例
2013年2月、全国初となる廃品回収業者の強制捜査が行われました。 場所は岐阜県。 この業者は前年から翌年にかけて、一般家庭から市の許可を得ずにテレビや冷蔵庫など使用済みの家電製品を無料で回収し、屋外に野ざらしで積んでいた廃棄物処理法違反というのが摘発の理由でした。 使用済みの家電製品を巡っては、国が前年、取締りを強化していて、その背景には、一部に法律で定められたリサイクルに回されずに「無料回収」をうたう業者によって回収された後、スクラップにされて海外に不正輸出されるというケースが相次ぎ、問題となっていたことが挙げられます。 このため、環境省は前年3月、屋外に野ざらしで積まれている家電製品は「廃棄物」とみなして取締りを強化するよう、全国の自治体に通知していたという経緯があります。 その後も違法の廃品回収業者の摘発は次々と進められましたが、悪質なものとして北海道の逮捕事例をご紹